女の子で生まれた僕が男性として生きるまで㉕

Kazekaの代表の小山です。

女の子で生まれた僕が男性として生きるまで㉔の続きです。

前回の診察で用意しておくように言われた書類を持って、1人目の先生から意見書を貰うためにメンタルクリニックに行きました。
これが最後の診察になるわけだし、いろいろ話したりするのかなと思っていましたが、もともとドライな先生なこともあり診察はあっさり終わりました。
待合室でお会計を待っていると、受付の方から意見書を手渡され、不備や変更点はないか確認するよう言われました。
意見書には、最初の診察で宿題として出された自分史や、婦人科と泌尿器科の診断結果、胸の手術をしたことなどが記載されており、想像していたよりも枚数があって驚きました。
この2年間でいろいろやったなあと思いながら全てに目を通し、特に問題がないことを伝えると、その日はそれで終わりました。

戸籍上の性別を変更するためには、2人以上の精神科医から意見書をいただかなくてはいけないので、2人目の先生の診察も受けに行きました。
胸の手術をするための意見書を貰う際に何度かお会いしていましたが、基本的には1人目の先生の診察を受けていたので、お会いするのは久しぶりでした。
軽くお話をして、先生が最終確認を行ったあと、意見書に日付を書きながら「お疲れ様。長かったね。」と言ってもらいました。
なんてことのない普通の言葉で、先生にとっては診察を受けた2年間のことを指していたのだと思いますが、僕にはこれまでの人生のことに対しての言葉のように聞こえて、涙がこぼれそうになりました。

でも、まだ泣く時ではありません。
男性として生きるまで、あと少し。
涙をぐっと堪えて、診察室をあとにしました。

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