女の子で生まれた僕が男性として生きるまで㉘

Kazekaの代表の小山です。

女の子で生まれた僕が男性として生きるまで㉗の続きです。

このブログを書き始めた時は、胸の手術もホルモン治療もしていなかったので、本当に男性として生きていけるか分からなかったし、そんな未来を上手く想像できていませんでした。
だから、その日が来るまでのブログとして、いつか、男性として生きられる日が来ますように。という願いを込めて、『女の子で生まれた僕が男性として生きるまで』という題名にしました。
想像の出来なかった未来が、現実になろうとしています。

2025年10月27日、戸籍上の性別が変更されました。

裁判所からの封筒だったので、なんとなくそんな気はしていました。
通知書を見たら大泣きしちゃうんじゃないかと思っていましたが、無事に全て終わったことへの安心感の方が強くて、不思議と涙は出ませんでした。
ふと、ことあるごとによく泣いてしまう僕に、両親が掛けてくれた言葉を思い出します。
「男として生きると決めたんだ。簡単に人前で泣くもんじゃない。」
「泣き虫なところも治さなきゃね。」
男性として生きられる。
泣き虫も変えるよ。

治療を進めていく過程で身体の変化を感じる度に、自分のためだけに生きてしまっているのではないかという疑問が何度も頭に浮かびました。
20歳で人生を終わらせる予定だった僕は、周りの人に支えられたお陰で生きることを選べました。
支えられた分、残りの人生は全て、LGBTQ+当事者の方々を支えるために使おうと決めました。
一度人生を諦めてしまった僕に、人並みの幸せを得る資格はあるのかな。

僕と同じように性別に悩む人が、少しでも参考にしてくれたら嬉しいと思って書き始めたこのブログは、想像を遥かに上回るほど多く方々に読んでいただけました。
「頑張って!」「治療への不安な気持ちが少し減りました。」
こんなに温かい言葉をいただけるなんて、思ってもいませんでした。
読んでくださった皆さまのお陰で、ちゃんと誰かのためになっていたことに気づけました。

そんな誰かに、最後に伝えたいことがあります。
LGBTQ+当事者とそうでない人の違いなんてないという人もいるけど、僕はやっぱり人よりハードルの多い人生のように感じます。
この身体で生きることに絶望していた頃に、想像していた困難はたしかにあったし、大人になった今でも悩むことは多いです。
カミングアウトしたら、手術をしたら、大人になれば、きっかけさえあれば、全てが良い方向に変わるんじゃないかと思っていたけど、現実はそんなことなくて、次々に現れるハードルを一つ一つ乗り越えていかなくてはいけません。
簡単には乗り越えられないハードルばかりで、動けなくなる日もあります。
でも、そんな日があったっていい。立ち止まっても大丈夫。
また歩き出せる日がきっと来ます。
死ぬほど悩んだ経験は絶対、明日も明後日もその先も何度でも飛び越えられる力になります。
迷って出した答えは、どんなものでもあなたにとっての正解なはずだから。

『女の子で生まれた僕が男性として生きるまで』は、これで終わりです。
ここから先は、あの日夢見た『男性として生きる話』の始まりです。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
あなたと僕のこれからの人生が限りない幸せで溢れることを願って、またいつか!

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