女の子で生まれた僕が男性として生きるまで⑳
Kazekaの代表の小山です。
女の子で生まれた僕が男性として生きるまで⑲の続きです。
5本目のホルモン注射を打ってからしばらくして、ニキビができやすくなりました。(20歳を超えるとニキビではなく吹出物と言うそうですが、大目に見てください。笑)
僕は生まれつき肌が弱いのですが、どちらかというと乾燥で肌が荒れやすいタイプなので、あまりニキビはできたことがありませんでした。
最初は、いつも通りお酒の飲みすぎか、繁忙期でしっかりと休めていなかったことが原因だと思っていましたが、6本目の注射を打つ際に看護師さんから体調やメンタル面で何か変化はないか聞かれて、一応そのことを伝えると、テストステロンの数値が急激に上がってしまったことによって、肌が脂っぽくなってしまったのではないかと言われました。
今まで2週間に1本のペースで注射していたのを、6本目からは3週間に1本に変えたのですが、5本目の時ほどニキビはできなかったので、やはり、ホルモン治療を始めたことによるホルモンバランスの崩れが原因だったのかなと思います。
焦らず自分に合ったペースで、緩やかに身体が変わっていけたらいいなと思います。
少し落ち着いたとはいえ、まだまだニキビができやすいので、大事になる前にかかりつけの皮膚科に行くことにしました。
初めて、もしくは久しぶりに医療機関にかかる時は、現在服用中のお薬や、継続して行っている治療、手術歴等について聞かれますが、僕の場合はその質問に答えること自体がカミングアウトとなってしまいます。
特に今回は、ニキビの原因がホルモン治療の可能性が高いため、より詳しく答えなくてはいけません。
医療機関によってトランスジェンダーへの理解に差があり、場合によっては紹介状や診断書がないと対応していただけないことがあると、過去に目にしたことがあります。
自分の身体のために、正確に答えなくてはいけないと分かっていても、理解されなかった時のことを考えると少し不安でした。
診察室に呼ばれ、8月に乳房切除術を行ったこと、現在は性別移行中でホルモン治療を始めたばかりであり、そのことが原因でニキビができやすくなったことを伝えました。
身体の心配こそされましたが、不安に感じていたことは一切なく、診察はいつも通りに進みました。
そして、処方されたお薬をもらいに薬局に行った際にも、薬剤師さんから改めて現在服用中のお薬や、治療、直近の手術について聞かれました。
診察の時にも答えたことを伝えると、こんなことを言われました。
「目に見える部分に身体に変化が起きているということは、それだけ見えない他の部分にも大きな変化が起きていて、身体が前よりも疲れやすくなったり、情緒が安定しないことが増えたり、あなたにとってマイナスな変化もあるということ。そういう時は、前みたいに上手くいかない自分を責めないで、前よりも多めに休んで、自分に優しくしてあげてね。」
思わぬ言葉に、胸が温かくなりました。
まだまだ、社会全体の理解は十分ではないかもしれないけど、確実に前に進んでいることを実感しました。
そして、常に学びを深める、全ての医療従事者の方々に改めて感謝したいと思いました。