女の子で生まれた僕が男性として生きるまで⑰

Kazekaの代表の小山です。

女の子で生まれた僕が男性として生きるまで⑯の続きです。

手術を終えて2~3日たった頃、入院中の病院からメンタルクリニックの予約を取るために電話を掛けました。

ホルモン治療を始めるためです。

乳房切除術は、原則ホルモン治療を行っていない場合に限り、保険適用で受けることができますが、逆を言えば、手術さえ終わっていればホルモン治療をしてもかまわないということです。
かなりブラックに近いグレーだなと、当事者ながらにそう思います。
手術を受ける前にも不安な気持ちはありましたが、ホルモン治療を始めることに対する方がその何倍も大きかったです。
声が低くなったり、筋肉がつきやすくなったり、より男性らしい容姿に近づける一方で、治療による副作用や、どのように変化していくのかが分からないことへの恐怖、変わっていく自分のことを周りに受け入れてもらえるかどうかなど、不安を挙げだしたらキリがありません。

ホルモン注射1回目の日、意見書をいただいてからは通院していなかったので、久しぶりに先生にお会いしました。
手術や入院中にあったことを話して、これから始めるホルモン治療についての説明を受けたあと、どのくらいの期間ホルモン治療を行っていれば、性別を変更できるのかについて質問しました。
残念ながら、子宮・卵巣摘出の手術を受けずに性別変更した当事者が少ないうえに、法整備も進んでいない現状で、明確に何年行っていれば変更できる、というのを答えるのは難しいと言われました。

本当に、性別変更できるかも分からない。
暗くて先が見えない道を、手探りで歩いていくことに、恐怖を感じない人がいるのでしょうか。
それでも、前に進んでいかなくてはいけません。

診察室を出た後、別室で看護師さんに注射をしていただきました。
いろいろな人の体験談で聞いていた話とは少し違って、お尻というよりも腰の筋肉に注射をするようなイメージでした。
入院中に点滴やらドレーンやら、いろいろなことをしていたので、注射にも慣れてきてはいましたが、やはり怖いものは怖いです。
1回目の注射ということでゆっくりと入れてもらったのですが、その間ずっと担当の看護師さんが話しかけてくださり、気がそれて助かりました。
メンタルクリニックで初めて診察したときの、採血を思い出しました。
ホルモン注射が身体に合っていないときのために、最初の4回は規定量の半分の125mgを2週間に1回打っていき、問題がなければ1ヵ月に1回、250mg打っていくという感じだそうです。

体内で男性ホルモンを作れない僕は、男性でいるために注射を打ち続けなくてはいけません。
もう後戻りはできません。

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